「痩せたって、あんたの心はデブのままよ!」小説【やせる石鹸】レビュー

こんにちは、飴子です。

歌川たいじさん著:やせる石鹸を読みました。

歌川たいじさんは、ブロガーとしてもかなり有名な方のようなのですが
私は存じ上げず、小説の存在を先に知って読みました。

あめこ
あめこ

この小説ですっかりファンになってしまって、今は歌川たいじさんのブログも拝見しています♪

初の小説作品だったとのことですが、とても面白く読みやすかったです!

目次

あらすじ

主人公のたまみは、見る人がギョッとするほどのいわゆる「巨デブ」な女の子。

下着を買いに行っても、店員さんからは話しかけてくれるなと言わんばかりの態度を取られ、それが当たり前になっている毎日でした。

母親との関係性も上手くいっておらず、食べ物が入っている冷蔵庫を神様のように崇拝していた…

そんな彼女は和食屋さんで働いているのですが、お客様の男性から、なんと生まれて初めての告白を受けるのです。

でも、たまみは「デブで醜い私を、どうして好きになる人がいるのだろうか」と自分を卑下し、彼を拒絶します。

そんな中、たまみはある大きなきっかけを機に、強く変わりたいと願うようになるのです。

デブでいることの何が悪いのか。デブである自分を好きになりたいと。

オネエ文体の魅力

まず、この小説が特徴的なのは、物語の全体を俯瞰で見ているような第三者がいて、小説を「読んでいる」というよりは、語り部から話を「聞いている」ような感覚で読み進められること。

そして、作者自身がゲイだと公表されているからか、すべてオネエ口調であるということです。

題材が題材なだけに闇を抱えている登場人物も多いのですが、彼や彼女たちの気持ちに寄り添ったあたたかい文章が特徴的。

登場人物が嬉しいとき、苦しいとき、感情が昂ったときの表現が独特で、それでいてめっちゃくちゃ刺さるんです!

つい「分かるよお〜!!!」感情移入してしまってもらい泣きするシーンも。

あと、デブという言葉がこの本だけで何回出てくるんだ?というくらい出てきます。

体重についてはほぼ表記せず、子デブ、中デブ、巨デブという表現で体型を表すのです。

体重よりもずっとイメージ沸くんですよねこの例え…w

あめこ
あめこ

この記事でもデブという言葉を多用しますが、決して蔑んでいるわけではないのでご了承くださいね。

キャラクターが個性的

主人公の「巨デブ」女子、たまみ。

この女の子を中心に話は進んでいきますが、たまみ以外にも個性豊かなキャラクターがたくさん出てきます。

ストーリー上、キャラクターには巨デブが多いのですが、それぞれのキャラに色がちゃんとあって、会話のシーンなんかでは思わず声を出して笑ってしまうところもありました。

捻くれ者の巨デブ男子の實(みのる)に、デブ専ゲイバーのマスターとルミちゃん、たまみの元同級生のよき子、そしてたまみの元に集う6人の巨デブ女子たち…。

同じデブでもみんな個性的で、色が違うんです。

特に私はゲイバーに在籍するルミちゃん推しです。マシンガントークが爽快。

いや、文章なんですけど、本当にルミちゃんの声が聞こえてくるようなんですよ!

会話の要所要所で、ハッとするようなことを言ってくれちゃいます。ルミちゃん大好き。

繫がらないとおもっていた人間関係が、「ここでつながるのか!!」と思わせてくれるような展開もあり、付箋回収上手いよ〜!!!!!と感動します。

デブだからこそ経験しているいじめや差別、複雑な家庭環境、何よりも痩せたいと思う気持ち。

キャラクターを構成する様々な要素が絡み合って、すべての登場人物に愛着が沸きます。

そして、みんながそれぞれ一生懸命に生きていて、悩みながらも前に進んでいく姿にじんとくるものが、あるのです。

「痩せたって、あんたの心はデブのままよ!」

なかなかに衝撃的なアオリだなあと思ったのですが、読む前と読んだ後では、言葉の意味が180度変わりました。

デブを全否定する言葉だと思ったけど,そうじゃなかった。

そもそもこの小説、タイトルとは裏腹にデブがダイエットをして痩せる話ではないのです

小説ではデブをフォーカスしていますが、この小説を読んで思う本質的なところはただ太ってる人がどうのこうの、という話だけではないように思いました。

皆どこかにコンプレックスを持っていると思うんです。

そして言われた側の気持ちを想像せず、面白がるようにそのコンプレックスを嗤う人々。

マイノリティやコンプレックスを抱える人たちへの世間の目は厳しくて、差別やいじめもなくならない。

主人公のたまみも、過去にデブというだけで虐げられ、自分に自信を持てない女の子でした。

デブが街を歩いていてごめんなさい、と言わんばかりの消極的な性格でした。

でも、この小説の中でたまみは変わっていきます。

自分を好きになるために。誰かの意見にとらわれないために。

たまみはなぜ変わりたいと思ったのか。そしてどう変わっていくのか。

きっかけも、変化の軌跡も、胸をぐっと捕まれるような気持ちで読みました。

あなたにも、たまみたちの成長を是非見届けてほしいのです。

おわりに

たまたまポップでかわいい表紙に惹かれて読んだ小説でしたが、めちゃくちゃ面白くて一気に読み進めてしまいました。

特に、前半後半で章が変わるのですが、後半の「逆襲の章」からはページをめくる手が止まらないし、休憩時間に読んでしまった日には仕事中に続き読みたすぎて禁断症状出た。

っていうか逆襲の章ってなかなか過激ですね。でも最高なんですマジで。

1ページの字が小さいので、文字数は多めです。

ちょっと字が見辛い人もいるかもしれませんが、読み応えたっぷりです。

読み終えた後は、本っっっ当にすがすがしい気持ちになります。

そして、自分の個性や生き方について、あらためて考えさせられるきっかけにもなりました。

他人の目を気にして気疲れする現代社会、そんな時代を生きる私たちへのエールのような小説でした。

是非、ご一読ください♪

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この記事を書いた人

アラサー主婦 兼 会社員。
PCに向かって絵を描いたり文字を書いたりするのが好きです。
趣味はカラオケとアニメ鑑賞。
カフェ巡りも好きです。

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